ART of column_四季即是空

自分だけの世界の旅、をこれからも続ける

兼高かおるさんとの思い出

訃報を知ったのは土曜の夜。
年末に日本旅行作家協会の方と、最近のご様子を心配する話をしていたのですが、やはり虫の知らせだったのかもしれません。

幾度か協会の集まりに出席した際に、そのお姿を拝見することはありました。
ブラウン管で観ていたときと同じく、笑顔がとても素敵なお方でした。

一度だけ、一緒に写真を撮ってもらう機会がありました。
ご挨拶した際に、「兼高かおる世界の旅」を幼い頃から毎週観ていたこと、著書を読み、海外出張の際の参考にさせてもらっていること……などをお伝えしました。

「まあ、こんなにお若い方がファンだなんて」と笑って軽くハグ&握手をしていただきました。

そのとき、折れそうなほど華奢なお身体であったことを覚えています。

高校の大先輩で日本におけるトレジャーハンターの第一人者の八重野さんに撮影して頂きました。いろんな意味で恐縮しているのはそのためです。

「本に書いてあることは、いいところだけ、真似なさってね」という上品なお言葉がいまでも心に残っています。

海外出張の際は、ゴム草履持参

あれから4年以上。
海外出張の際に世界史の本を持っていくことはなくなりましたが、相変わらずゴム草履は携行しています。

第一報から数日経ち、静かに旅立たれて、マスコミのニュースにようやく流れるようになって、本当のことだったんだなと実感。
ニュースになるまで、どこかでいまでも生きていらっしゃるような、そんな気がしていたのです。

そしてふと考えました。
取材での国内・海外問わず出張の際、自分で写真を撮って、取材して、帰国した後に資料を整理して原稿を書き、写真を現像して……という一連のひとりで行う作業、それも兼高かおるさんのスタイルと同じだったんだなぁ、と。

本に書いてあることは、いいところだけ、真似させていただきます、これからも。

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