ART of work_編集者の憂鬱

雑誌では、写真は命です

ビジュアルを大切に

自分が雑誌(文芸誌は除く)を作る上でもっとも気を配っているのは、誌面のビジュアルです。
そこで、デザインもさることながら、一番こだわっているのが写真です。
誌面で感動を伝えられるものは、まずは写真だと常々考えています。
(もちろん、企画が大切なのは当たり前。しかし、目の付け所が素晴らしい企画だとしても、写真がダメならばその感動も半減してしまうでしょう)
目に入った瞬間に、ハッとさせる写真、思わず引き込まれてしまう写真が重要です。

たとえば、読者から「いつも写真がとても綺麗で、被写体の魅力が引き出されていると思います」といった読者ハガキかメールが届くと、思わずニヤリとしてしまうものです。

あるインポートディーラーの方に、「雑誌に掲載されている同じ外装色と内装色の組み合わせのクルマが欲しい」というオーダーが入りました、という知らせを幾度か受けたことがありますが、これまたシテヤッタリという感じです。なぜならば、1台何千万円もする高級輸入車ですから。
しかも、あるキャッチコピーではありませんが、「美しいクルマをより美しく」誌面で紹介することは、良心の呵責を感じずに済みます。なぜなら嘘ではないから。

つまり、スーパーカー、ラグジュアリカーの美徳である「美しさ」を最大限引き出しただけのこと。
こうしたクルマは、持っていることに最大の価値があるわけなので、意識している人(購入を考えている人)にその魅力を伝えることが大切です。
これが、デイリーユースの大衆車であったら、そうはいかなかったでしょう。

嬉しい読者の反応

先日、読者ハガキが届きました。
それには、「表紙の写真がとても素晴らしく、書店で目を引き購入しました」ということが書かれてました。

これなど、新しい読者を獲得したという意味で、さらにうれしい出来事です。
(しかも、訳あって自ら撮影した案件でした)

実はこの表紙の撮影は、朝7時に松山駅に集合してからのトリプルヘッダーの最後の撮影でした。

松山から南下して高知での3件目の撮影です。

日差しも強く、ガレージの外と中でのコントラストも強く、うーん困ったな……という状況。

それでも手際よく撮影を済ませて、その日のうちに松山に戻って、ホテルで画処理して編集部へ送ったという写真。
(締め切り間近……だったのです)

思い出深い1枚だったので、それが縁で読者になってくれた人がいたというのは、編集者冥利につきる出来事でした。
売り上げも大切ですが、読者に何かを伝えられたということが、編集者(そして撮影者)にとっては一番嬉しいことだったりします。
そしてご協力いただいたガレージのオーナーと、アテンドしていただいたIさんに感謝です。

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