ART of foods_おふとりさま

藤しろ_恋しい初味

初体験は鮮明な思い出に

素晴らしい景色に出会った場所、そうそう忘れることはできません。
しかし、そんな場所は住んでいることころから遠いところだったりして、頻繁に行くことはできません。
再訪できないままに、初めて眼前に広がった景色を見て受けた感動は、記憶の中で純化されていきます。

そしてもう一度、その感動を受けた景色の前に立ったとき、最初に受けた衝撃と同等もしくはそれ以上のものを受けるか否か、それは対象となるものに左右されます。

人間が介在していない自然の風景である場合、もう一度感動を味わうことができる場合が多いように思います。
一方で、人間の手によるものは、感動が希薄になっている場合がたいていです。
たとえば、建築物だったり都市だったり……。
あくまでもこれは個人的な経験による傾向です。

では、初めて入店し食べて感動したラーメンが、2度目ではそれほどの感動を得られない場合は一体何が原因なのでしょう?

パンチのある味で衝撃を受けたラーメンでも、2度目では「店主変わった?」と思うくらい感動が薄くなっていることがあります。

逆に、奇をてらっていないシンプルでストレートな味なのに、2度、3度と通っている間に、さらに美味しく感じられるラーメンもあります。

この違いはなんなのでしょう?

先日、1年以上むかしに入店したことのあるラーメン店を訪れました。
おいしくおふとりさまできた記憶だけが鮮明に残っていたのです。

久しぶりに食べてみたくなって、前回と同じく遅めのランチとして訪れてみたのでした。
奇しくも、前回と全く同じ席に着席。頼んだメニューもまったく一緒です。

さあ、おふとりさまです

芳醇鶏白湯ラーメン(味付け玉子入り) 850円

まず、「あれ? こんな細麺だったっけ???」というのが、最初の感想。
どこかのラーメンと記憶が差し替わっているようです。

二口目を食べたところで、卓上にある調味料を思い出しました。そうそう、「生姜レモン」をほんのちょっと加えたのでした。そこで、前回同様、瓶に入っているスプーン一杯だけ投入。

しかし、やっぱりちょっと記憶と違うのです。

そうそう、ブラックペッパーをふりかけたのでした。店内の説明にも、「少量入れていただくことで、味が締まります」と書いてあります。

なんだか記憶に近い味になりました。

しかし、結局のところ、こんなんだったけなー??? という思いを払拭できずにおふとりさま。

帰宅して1年前の写真と比べてみると……。

九条ネギの量・切り方が違うことに気が付きました。
前回より細く切ってある上に、量が少ないようです。
たぶん、これがずっと「前回となにか印象が違うな〜」という原因。味が繊細だと、薬味のネギで印象が変わるということなのでしょう。

ちなみに、どちらがスタンダードなのかは、2度しか食べたことがないのでわかりませんので、あしからず。補足しておくと、美味しいことには変わりはありませんので、安心のおふとりさまを堪能できます。

今回は、記憶とのすり合わせしたおふとりさまでした。

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近江熟成醤油ラーメン 十二分屋 近江鶏白湯醤油

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