フルコンプ目指してチャレンジ
2020年はコロナ禍のため、週に1、2度の出社というスタイルに。出社した日の夕ご飯は外食で済ますようになったのですが、乗り換え駅のあざみ野で、おふとりさまの楽しみがひとつできました。
醤油→塩ときて、ついに今日こそは味噌にチャレンジ。これでフルコンプと思いきや、味噌が売り切れで、塩らぁ麺を再びおふとりさまするというお預けの後、日を改めて、ついに味噌ラーメンです。
カウンターからは中華鍋で勢いよく何かを炒めている様子が伺えます。どうやら味噌ラーメンにのせる具材のようです。麺とスープが入れられたどんぶりに、手際良く盛り付けられておりました。
さて、目の前に出されたどんぶりを見て、塩らぁ麺にしておけばよかったかなと、まず後悔。なぜならば、100円余計に支払ってまで、自分の口に合わないものをオーダーしなくてもよかったかな、と思ったのです。
フルコンプしようなんて、子供じみたことよせばいいのに……と。
見るからにスープがドロドロしており、醤油らぁ麺と塩らぁ麺から想像していたのとはまったく様相が異なっています。
札幌直伝屋の味噌ラーメン 880円
とろ〜り半熟味玉 110円
なにはともあれ、おふとりさまです。
スープは安定の熱々です。猫舌の人には、熱すぎるくらいでしょうが、私にはちょうどよい。まず最初に麺をひと口。
醤油らぁ麺と塩らぁ麺に使われているのと同じ麺だとしたら、味噌に合うのかなぁと心配していましたが、ご安心ください、まったく別物の麺でした。
むかし、六本木で働いていた時によく通った、天鳳の西山製麺をもっと素直にした印象の縮れ麺。鶏モモの肉巻きではない、豚バラチャーシューが一枚。
豚バラチャーシューを頬張りながら、ふと気がついたのです。そういえば、この味噌を含め、これまで食べた3つのスタイルで、麺の硬さやスープの味の段階を訊ねられていないな、と。
客任せではなく、目指した理想を見せて欲しい
天鳳は、「一三五」とか、「めんばり」とか、「めんかた」とか、なんかいろいろありましたが、よく分からないのでいつも「ふつう」をオーダーしていた記憶があります(というか、麺が硬いのは苦手なのです)。
初めて入ったお店だと、その店のスタンダードを知るために、麺の硬さ・味の濃さ・脂の量ともに、すべて「ふつう」でオーダーします。最近では味は一番薄く、脂も一番少ないものを選ぶこともあります。もはやガツン系を求めるような年齢ではないからです。
でも、いつも思うのです。「これがベストです」という、自信ある組み合わせで出してくれよ、と。自分好みにオーダーできるシステムは、実は提供する側の自信のなさの現れではないか、と。
最近のクルマは、エンジン出力・ステアリング・サスペンションの3つを、自分好みに調整出来るものが増えました。だから、そのメーカーの思想が見えにくくなったことも否めません。
むかしは、(特に欧州車は)そのメーカーの思想が、乗り味に色濃く反映されていて、麗しいステアリングフィールだったり、サスペンションの所作であったりに感動したものでした。ある速度域でないと、そのスイートスポットに当たらないこともあって、それはそれでそのクルマの特性をよく表しているものでした。
しかし現在は、自分好みにセッティングをカスタマイズできるので、どのクルマに乗ってもみな同じ、個性が薄くなってしまったような気がしてなりません。実はラーメンも同じで、「あなた好みにアレンジして下さい」というシステムは、お店の個性をスポイルしているようにも思うのです。
お店の主張が感じられるほどクセになって、リピート率も高くなるんじゃかいか……と、常々思っておりました。
つまり、この味噌ラーメンは、直球勝負なのです。
コッテリ顔だけど、意外とスマートな味
麺を半分ほど食べてから、挽肉ともやしと一緒に縮れ麺を食べると美味しいことに気がつきました。挽肉にはナンコツが入っているのか、食感もよい。スープの感じと相まって、西早稲田の「えぞ菊」を思い出してしまいました。
はじめ、ドロドロのスープに恐れをなしていましたが、意外とそれほどどぎつくもなく、スルスルと麺が喉を通っていきます。えぞ菊でのように、バターをトッピングしてもいいかも〜、と思ったのですが、ここは余計なものは加えずに、このままおふとりさましてしまいましょう。
一杯の味噌ラーメンを食べながら、いろいろと青春の日々と共にあったラーメンを思い出しましたが、実はどんぶりに刻印された店名が違っておりました。「あの小宮」ではなく、「札幌ラーメン直伝屋」と書かれています。つまり、こちらの味噌ラーメンは、先に食べた醤油と塩とは、まったくの別物だったと云うことですね。
ということで、これで思い残すことなくフルコンプ……、と思って店内を見回してみると、まったく予想していなかった別メニューが……(つづく、かもしれないし、つづかないかもしれません)。