ART of book_文庫随想

『ラッセル 幸福論』_読んで本当に幸せになれました(泪)

NHKの受信料、払っています。
だから、というわけではありませんが、『100分de名著』を観ています。
リアルタイムではなくて、家人が録画したものではありますが……。

実は、この番組を観て、読んでみようかなと思い、購入した文庫もあります。
それが、『ラッセル 幸福論』。

幸福論と名のつく書物は数多くありますが、きっと崇高な理念が書かれているに違いない……と思っている人も多いでしょうが、意外と当たり前のことが書かれているものです。
しかし、その当たり前のことを偉い人が改めて文章にしたものを読むことは、再確認の意味でも非常に有意義なことです。
「そうそう」と頷けることは、自分の立ち位置を確認する上でも重要。
自分のことを買い被っているかもしれなくとも、初心を思い出せるだけも価値あることです。

「現代の知識人の間に見られる不幸の原因の一つは、非常に多くの人びとが、ことに文筆を業とする人たちが、才能を独立して発揮する機会が見つからなくて、俗物が牛耳っている富裕な法人に余儀なく雇われるはめになり、俗物たちに自ら有害なナンセンスだと思っている記事を書くように強要されていることである。」

ここまでズバッと書かれてしまうと、というか、代弁してもらうと、いやはやもう……。
しかし、私が不幸であるかといえば、実はそれほどでもありません。
それは、本当に書きたいこと(本音)は書けないけれど、嘘も書かない、という自己嫌悪に陥る手前で折り合いをつけているからです。
とはいえ、卑怯であることには変わりありません。

しかし、ラッセルはこうも書いています。
「この種の仕事を引き受ける人たちを非難することは、私にはできない」

ということで、ラッセルに救済されて、少しだけ幸せになれた一冊。

『ラッセル 幸福論』:安藤貞雄訳/岩波文庫