ART of cycling_二輪書

BD-1で東海道五十三次旧道を行く──薩埵峠

DAY 2 12:27_薩埵峠

由比の浮世絵ポイントは、由比宿にはありません。
それは有名な薩埵峠にあります。
見るからに登っていかなさそうなスロープに、意を決して挑みます。

1速でキコキコ時間をかけて。
歩いた方が速くない? 楽じゃない? というスピードかもしれませんが、そこはこの旅の決まり事なので、ペダルを漕いで登ります。
途中、徒歩の人たちとすれ違うのですが、そのときの好奇の眼差しが痛いほど刺さります。

ただし、昨日の雨が嘘のように晴れわたった空は、すでに初夏を思わせる深いブルー。
両サイドは蜜柑畑です。
樹々にはオレンジ色の蜜柑が残っています。
あえて収穫されていないのか、それともそんな品種なのか。

脚が悲鳴をあげて、もうペダルを漕ぐ力がなくなってきたら、蜜柑とBD-1を撮影しているふりをして休憩。

箱根を越えた段階で、もう登り坂には苦労しないとばっかり思っていましたが、さにあらず。
またまたブレーキです。

幾度も休憩を挟みながら、登りはじめて20分弱で、S兄ィが待つ峠の頂上にたどり着きました。

展望台をつくっているのか、工事中のため風情もなにもないものですが、工事を背に、絶景の海を眺めながらの小休憩。

S兄ィは、私のためにさっき買った柑橘類をとっておいてくれました。
正式の名前はわかりませんが、この柑橘類で喉を潤します。

眼下には東海道線と東名高速道路、それに国道1号線……。
現在の東海道の姿がまさに一望できます。
そしてこのあたりが浮世絵ポイント。

辛うじて富士が姿を見せてくれました。

そして、しっかりと休息をとり、再スタート。

少し行くと、無料の駐車場がありました。
そこにある公衆トイレで用を済ませ、ルート会議。

というのも、旧東海道は、階段で下っているのです。
この階段だけ自転車を担げば、あとは舗装路でなくてもペダルを漕いで進むことができるのか否か。

登ってきたおばさんの集団に、自転車で行ける道なのか尋ねてみました。

「あなたたちみたいに若ければ、自転車でもぜんぜん平気よ〜」

おばさんたち、分かってない。
(そのとき)自分は46歳、S兄ィにいたっては、余裕で50歳オーバー。
若くはないのです。むしろあなたたちとさほど変わらない年齢なのです。

……が、気分を良くして、階段を下りていくことに。

すぐに平らな道になり、誰も歩いていないので、サドルにまたがって進みます。
後で分かったのですが、ここは完全に遊歩道のような道で、自転車で走るような道ではなく、押して進む羽目に。
おばさんたちにしてやられた、という感じ。

途中、桜が見事な場所があり、麗らかな午後のひとときではありました。
なのですが、後半はすべて階段。

サドルバックにも荷物を積んでいるので、BD-1の重いこと重いこと。

肩にサドルが食い込んできます。
「どこが余裕なんだよー!」と毒づきながら自転車を担いで階段を一歩一歩慎重に下っていくのでした。

きっと、さきほどのおばさん連中は、「ほんとうに自転車で行くとは思わなかったわ〜」と笑っていることでしょう。
完全にハイキングコース(ちょっとした登山)のような道を下るのですが、歯ぎしりしてももう遅し。

お墓のある、言ってみれば登山口のようにひらけた場所に到着した際、これから登る家族にすれ違ったのですが、ギョッとした目で見られました。
そりゃあそうでしょう。

さて、ようやく舗装された道に出て、旧東海道をスピードに乗って駆け下ります。

この瞬間のために、登りを頑張っているのに、下りでもパワーを使ってしまうなんて、なんという位置エネルギーのロス。

これを教訓として、その後は舗装されていないルートは、決して選択しませんでした。

案内板に、「東海自然歩道バイパスコース」と書かれているではないですか。地図情報だけ見て、文字情報はまったく見ていませんでした。自然歩道なら、自転車で行けるはずないことぐらい、当然です。

●GoProからの1枚

浮世絵に近い構図がたまたま撮れていました。人物も向きこそ違えど、入ってますし。

注:〈  〉内は交差点名を表します。

東海道五十三次旧道を走破した日程はこちら。

BD-1で東海道五十三次旧道を行く──日本橋〜品川宿

BMW i8で東海道53次を走破したお話はこちら。

【BMW i8で行く東海道五十三次 旧道の旅】#00_日本橋