ART of travel_旅艶

ニュルブルクリンクで泊まるべきホテル

ニュルブルクリンクを眼下にできるホテル

ドリント アム ニュルブルクリンク ホッホアイフェル。
四つ星のホテルです。
クルマ好きの方には、よく知られたホテルです。
なにせ、ニュルブルクリンクのサーキットを、部屋のテラスから一望できるのですから。
私が宿泊した部屋からも、ホームストレートを一望することができました。

このホテルに宿泊したのは、2014年のニュル24時間レースのとき。
アストンマーティンの試乗会にプラスして、ニュル24時間レースを観戦するという、なんとも至福の取材でした。
実はこの4つ星ホテルが、最小限ホテルでもあったのです。


この取材のお招きをいただいた時、広報のS女史が「実は、大変申し訳ないのですが、宿泊がキャンプになるのです……」と、電話の向こうでとても恐縮した様子。
キャンプ? 全然オッケー!
ニュル24時間レースを観戦するわけですし、豪華な部屋にぽつんと一人でいるより、キャンプでワイワイした方が絶対に楽しいに決まってます。
あと、根っからのMですので、ふだん経験できないような宿泊はむしろウエルカム。
「まったく問題ないです!」と即答。
「でも、ほんとうにツライかもしれないんです……」とS女史。
そう言われれば言われるだけ、むしろワクワクしてきます。
最新モデルの試乗、そしてニュル24時間レースの取材の楽しみに、宿泊のドキドキが加わったドイツ行きとなりました。

4つ星ホテルの最小限ホテル

キャンプの宿泊は、2泊目以降から。
どんなキャンプになるのか楽しみにしていたら、案内されたのはドリント ホテル内でした。
コースサイドで本当のキャンプを勝手にイメージしていたので、ちょっと肩透かしを食らった気分。
通されたのは、おそらく会議場として使われる広々としたスペース。
パーテーションで壁が設けられ、たくさんのドアが……。
ドアを開けると、そこが私の部屋でした。


ベッドにチェア、そしてタオルやガウン。
ちゃんとミネラルウォーターとグラスも用意されています。
クローゼットの代わりに吊り下げ収納も。
ただし、各部屋に照明はなく、懐中電灯が用意されていました。
また、大広間の照明自体が消えることはなく、深夜でもなんとなく明るい状態。
これはまさしく、報道特派員に用意された部屋。
24時間体制でレース模様を配信する特派員の仮眠室です。
リアルタイムで情報を配信しなければならない立場ではありませんでしたが、気分はすっかり記者。
深夜にHさんに連れられて、アストンマーティンのピットやホスピタリティを取材したり、なかなか充実した24時間でした。
そして、最小限ホテルを追い求める自分にとっては、この上もないホテルだったのは言うまでもないでしょう。
仮設というのが気になりますが、黒川紀章のカプセルホテルを除けば、これまでの経験上、間違いなく最小スペースのホテルです。
しかも、なんといっても4つ星ホテル。
アストンマーティンのご招待でなければ、まず経験できなかったであろう物件です。


快適すぎるより旅よりも、こうした思わぬ驚きがあった方が、記憶に深く刻み込まれるもの。
そして、それらすべてを受け入れて楽しめることができれば、旅に艶が加味されることは間違いありません。

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