平たい麺族は、ゆであがりもはやいのです
“ホームの立食いソバを食べたくなる駅、というものがある。米原、塩尻などがその代表格である。概して鉄道の主要駅であるにもかかわらず、町の規模が小さいところのようである。食欲や空腹とは、さして関係はなく、なぜか食べたくなるのである。”
『終着駅へ行ってきます/宮脇俊三』
気がつくと、出張の際などのルーティンになっている食事があります。
すごく美味しくて、やみつきになるものと、衝撃的ではないけれど、通りかかるとついつい食べちゃうものと。
名古屋駅の新幹線ホームにある住よしは、まさに後者の方。
名古屋駅に午前中待ち合わせの時など、ついふらりと入ってしまいます。
喫茶店で時間を潰すほどの余裕もなく、サッと小腹を満たしたいときがそう。
きしめんは、茹でる時間を短くするための知恵だと義父から教わりました。
昔の話ですから、薪を倹約するのだそうです。
この話を聞かされてから、きしめんを食べる時にはいつも、三河出身の義父の顔を思い出すようになりました。
九州育ちですから、うどんはコシがなくても全然平気。
なので、きしめんとも意外と相性がいいのです。
ホームで食べる麺類は、列車に乗り遅れないように熱すぎないほうが良いように思いますが、しっかりと熱めのつゆとなっています。
それがまた好ましい。
それでは、おふとりさまです!
かき揚げきしめん(玉子入り) 570円
かき揚げはしっかりつゆに浸して、端の方から崩しながら攻略します。
それくらい重量感あるかき揚げなのです。
かき揚げには鰹の削り節がかかっているのですが、これも早々につゆへに浸します。
すこしでもつゆに出汁がでればという魂胆です。
きしめんと絡めて食べれば、純粋にきしめんの食感は楽しめませんが、ダイレクトに旨みを感じることができます。
ここで、気がつきました。
あらかじめ出汁をつくるための薪(いまならガス代)を倹約するために削り節がのっているのではないかと。
熱々のつゆも、冷めたかき揚げがほどよく温度調節をしてくれて、あっという間に完食。
朝の貴重な時間も倹約できるおふとりさまでした。
義父に、削り節も倹約のためにのせるのか、こんど尋ねてみることにします。
「それは名古屋の文化」と、一蹴されるかもしれませんが……。