
2018.09.28
疲れました……お迎えが来たようです
「パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ。なんだか、とても眠いんだ」
取材に原稿執筆、ああ、撮影した写真も現像しないと(パソコンで)。ラフも引かないとな。そういえば、依頼していた原稿も届いてないな。あ、表紙のデータ、印刷所のサーバにアップしないとな……。その前に、なんだか、とても眠いんだ……。
ドゥオーモの正面の門(たぶん)の前に立っていると、どこからともなくネロの声が聞こえてきそうです。しかし、あれはアントワープの大聖堂。イタリアではなくベルギーでのお話。
ついに、自分の過酷なワークスタイルは、幻覚を見せるほどハードな域に達したのだろうか。うーん、単なる目の疲れ? それともナチュラルハイで、神の訪れを目の当たりにしてるのだろうか。

ドゥオーモの真正面にある、固く閉ざされた門扉が、ほのかに照らされているのです。朝陽は、ドゥオーモの正門とは逆から差しています。照明はどこにもありません。
ネロも、光の天使に誘われながら、昇天していきました。ついについに、私も!? しかし、クリスチャンではないんだけど。

神の光に導かれて、昇天……ん?
そういえば、NHKの朝の連続小説で、主人公である音のなくなった父が、あの世から舞い戻ってくるという回がありました。閻魔大王に許されて、人間界に戻ってくるのです。でも、音の父はクリスチャンだったはず。設定が、おかしくない? もうそのことばかりが気になって、肝心のドラマに集中できませんでした、時代考証とか、きっちりやってんじゃないんかーい! という話はどうでもよくて、きっと宗教もボーダーレスの時代なのです。
そんなわけで、無宗教の私が、神の光に導かれ、いざ、ドゥオーモの門を開かん……。いや、天使に導かれて昇天せん……。
その前に、この世との別れ、今一度現世を見ておこうと振り返ってみれば、窓のガラスに反射する一条の朝陽。

幻覚ではありませんでした。
もちろん、光の天使が降りてきているわけでもありませんでした。
ただの自然現象だったのでした。

このあとの長い長いイタリアでの取材の一日が、とても幸あるものだったというのは言うまでもありません。やはり、旅先での早起きは三文の徳、なのでした。

▼ドゥオーモの朝の散歩で感じたイロイロ