おいしさと辛さがまったく融合しない!
こんな経験、かつて味わったことがあります。それは学生時代に食べた、フクちゃんの「チョコとん」です。チョコとんをご存じない方は、チーズをサンドした豚カツを思い浮かべてください。そのチーズの代わりにチョコレートが入っているのがチョコとんです。この名物料理を提供する食堂は、いまはもうなくなってしまったそうです。若かりし頃の冒険心を掻きたてるトンカツでした。
話を戻しましょう。チョコとんを口にした時、豚カツとチョコ(しかも当然信じられないほど溶けている)が、一緒に口したはずなのに、口の中でハーモニーを奏でてくれないどころか、豚カツとチョコレートが別々に味を主張するという、まったく美味しくもなんともない、単なる罰ゲームと化していたのでした。
ソースの旨味と辛さが、口の中で一切溶けあわないことをわかりやすく伝えようとして、むしろ分かりにくくなってしまったチョコとんですが、獄激辛は、辛さだけが突き抜けてしまって、ソースの旨味や麺の歯応え、味など、一切合切を置き去りにしてしまった感があります。
まったく違う速度で脳へと伝わるのです。たぶん、辛さが脳へと伝わるスピードは、美味しさが脳へと伝わるスピードの100倍くらいはやいのかもしれません(科学的根拠はありません)。
美味しいと思える要素が乏しいまま、食べ続けること数分、完食してしまいました。インドや大韓民国やジャマイカ……の彼や彼女らに、見事打ち勝ってやりました。西日本の薄味文化圏で育った、繊細な舌を持つ、できれば激辛なんてご遠慮したいわたくしが、激辛文化のヤツらを打ちのめしてやりました! 俺様偉い!(と、勝手にテレビで完食できなかった世界中の人たちと、ガチ勝負していたようです)。
テレビでは、「何分で完食しました」などと説明していましたが、食べるのに時間がかかるのには、量が大きく関与しているのであって、辛さではありません。たかだか100gちょっとのやきそばです。普通に食べたら3分も必要ないでしょう。
もしこれが、1Kgの獄激辛だったら、格闘の末、完食と云うことになるのでしょうが……。
激辛でやられた舌は、甘さを感じられるのか?
ただし、激辛であることは本当で、食べ終わった後に氷を口に入れて辛さを紛らわせていたほどです。ここで、ひとつ実験をしてみました。口中が辛さでヒリヒリ焼き付いているときに、甘いものは美味しく感じられるのか。
ということで、チョコレートを口に放り込んだのですが、甘さを感じられるどころか、まったく美味しくない! カカオの風味もあったもんじゃありません。口の中で、チョコレートが変な感じで遊離している感じです。いつもの口の中に拡がるカカオの香りどころか、あの溶けたチョコレートの舌触りの心地よさがまったく皆無。むしろ、神経を逆なでする感じ。
ああ、この感じ、いつか経験したことあるなぁ、と思っていたら、それはあのフクちゃんの「チョコとん」でした。
さて、激辛料理のレビューで最も大切な翌日のあれですが、実はたいしたことありませんでした。口に残った辛さも、意外とすぐに消えてしまいました。獄激辛の辛さのヒミツは、科学的なモノなのかもしれません。自然由来の辛さは、まあまあ後まで尾を引いて、翌日のあれもなかなかツライものがありますから……。
とうことで、スーパーの麺類コーナーではなく、東急ハンズのパーティーグッズ売り場こそが相応しいと思ったおふとりさまでした。紛れもなく、罰ゲームです。
- 製品名:ペヤングやきそば 獄激辛
- 価格:205円(税別)
- 入手価格:およそ500円
- メーカー:まるか食品株式会社
- おあずけ時間:3分
- カロリー:542kcal
- 1食あたりの重量:119g
- 湯量:480ml
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