ART of cycling_二輪書

旅するBD-1、中山道六十九次を行く◎03_浦和

BD-1で走破した、中山道六十九次の旅の記録。2019年4月25日〜30日の5泊6日をかけたポタリングの様子を宿場ごとにレポートしています。

DAY 1 9:58_浦和

2019.4.25

本当は深夜に通り過ぎておきたかった区間

〈錦町三丁目〉の交差点あたりが蕨宿の京方となるため、それから先の旧中山道はただの住宅地を貫く道路といった雰囲気。17号線の裏道的な要素もあるのか、通行するクルマのスピードはそれなりに速い。

なるべく路肩の白線内を走ろうとするけれども、歩道と車道の境界ブロックと白線との間に余裕のないところが多く、クルマをかわすために歩道内に避難することもしばしば。

本当は、終電で東京駅まで向かい、夜が明ける前に埼玉県を通り過ぎる予定だったのが、天候不順のために日本橋を朝スタートしたのでやむを得ません。車両の邪魔にならないように、なるべく車道の左側をキープしながら走行。

そのうち境界ブロックもなくなり、マンションや個人住宅がならぶ片側1車線の特徴に乏しい道へと変わりました。

外環自動車道をくぐってさらに進むと、左コーナーが見えてくる。そのコーナー抜けるとその先に右コーナーが待っており、そのあたりが浦和宿の浮世絵ポイント。

◎浮世絵ポイント_浅間山遠望

描かれている茶屋で「焼米」が売られていという。

アプリのマップが示すあたりは、「六辻水辺公園」。暗渠になることを免れた川、というか水路沿いを、無理やりに公園化したもの。公園といっても、ただの生活道路にしか見えない。

浅間山は当然ビルに隠れているのか、見ることはできませんが、浮世絵の遠近感は実際とは異なるので、本当に浅間山がここから見えていたのかどうかはわからりません。

とにかく、浮世絵ポイントとしては、まったく今に当時の姿を偲ばせるものがないので、早々にサドルにまたがる。実は、快復すると思っていた天気、ふたたび雨が降ってきそうで気がかりなのです。

この用水路の先に公園があるのかも。しかし、旧中山道の旅とは関係ないので道草もほどほどに。

浮世絵に描かれている茶屋では、名物の「焼米」を食べさせていたそうですが、保存食の「焼米」って、旅人にとっては携行食にもなるので、そんなものを茶屋で出されてもなぁ……と思わずにはいられない。カフェに入ったら、メニューがカンパンだったなんて、そんながっかりなことはない、いまなら。

でも、山登りの途中、山小屋でカップヌードルを食べることと同じ感覚であるのかもしれません。徒歩で中山道を行き来していた昔の人にとって、中山道沿いの茶屋は、現代人が散歩で立ち寄るカフェと言うより、山登りの際に利用する山小屋に近い存在だった……のだろう、たぶん。

それとも携行食として「焼米」を売っている茶屋だったのだろうか……。

とにかく、その先のT字路を右に折れて旧中山道を進むと、「焼米坂」という坂道があるので、このあたりで「焼米」が作られていたか、売られていたかしていたのは、間違いないのないことのようです。

旧街道の旅は、明治天皇行在所をたどる旅

浦和宿の本陣跡は、現在、「仲町公園」になっています。「仲町公園」は旧中山道沿いにはなく、20メートルちょと、旧街道から入ったところに位置しています。

公園内はよく手入れが行き届いており、雑草などはまったく生えていません。建物と木に囲まれているせいか、周辺よりも薄暗い印象。公園全体が、ちょっと重たい空気に包まれています。

それに公園の隣は幼稚園なのに、まったく児童公園らしい親しさが感じられません。その理由は公園の中央にそびえている「明治天皇行在所阯」の石碑のせいかもしれません。

旧東海道の旅のときに気がついていたけれど、とにかく、明治天皇が訪れたり、休憩したり、宿泊したり……を記念する石碑が、なんと日本全国に多いことか。この後の旅路でも、同様の石碑をことあとたくさん見かけることとなる……。

放課後には、近所の子どもが遊んでいるのかも。

さて、ペンキの剥がれかけているブランコが公園の隅にポツンとあるけれど、むしろブランコのほうが、この場の雰囲気を無視した人工物のようだ。明治天皇行在所阯」の石碑の方が、公園にしっくりくる。児童公園と云うより、本陣跡&明治天皇行在所阯としての広場なのでしょう。

考えてみれば、明治天皇以前、天皇が東京と京都を行き来するなんてことはほとんどなかったことだし、当時の人々にしてみれば、はじめて天皇が立ち寄ったということは、石碑に残すくらい名誉なことであったのだろう、と推測。

旧中山道の喧騒をしばし忘れさせてくれた「仲町公園」をあとにして、次なる宿場へ向かう。

※注:〈  〉内は、交差点名をさします。

◎GoProからの1枚

焼米坂の標柱が左手に。

▼ひとつ手前の宿場はこちら

▼E30 M3での中山道旧道の旅はこちら

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