ART of car life_E30 M3 diary

旅するエムスリー、中山道六十九次ドライヴ◎06_桶川

E30M3で走破した、中山道六十九次の旅の記録。2018年12月11日〜15日の4泊5日をかけたドライブの様子を宿場ごとにレポートしています。

DAY 1 5:18_桶川

2018.12.11

旧街道らしさの残る本陣跡付近

上尾宿から桶川宿までは、距離にして4km弱しかない。仮に時速50キロでクルマを走らせたとして、5分ほどの距離。信号につかまったとしても、10分もあれば到着してしまう距離だ。

まだ夜の明けない中山道旧道だけれども、本陣跡を通り過ぎてしまうこともなく道路脇にE30M3を停めることができた。

E30M3を「小林家住宅主屋」前に停車。道を隔てて「矢部家住宅店蔵」の古い建物があるので、このあたりが桶川宿本陣跡地あたりだと云うことがすぐにわかる。

本陣跡は、さらに50mほど先にあるようだが、旧中山道沿いには本陣跡はない。本陣への近道入口に冠木門があるが、旧中山道のから少しだけ奥まったところにあり、明るい日中でもクルマからだと分かりづらいだろう。

桶川宿といえば、紅花が盛んだった宿場。歴史こそ“最上”の方が古いのだけれども、“武州物”の方が質は上だったという。とくに、武州の西部に位置する入間郡や高麗郡のものは“西山物”と呼ばれ、特に良質とされていた。

西山物は最高の品質

量では最上物、質は武州物。その武州ものの中でもさらに良質な物が西山物。うーん、悪くない響き。量より質、それは自分の仕事に対するスタンスと同じ。

ニシヤマの手がける物はクオリティ高いよね、と言われるのが最上の喜びであったりする。大衆向けではなく限られたターゲットに向けたものならば、実はクオリティを上げていくのは簡単だったりする。すべての人に理解してもらわなくてよいという割り切りがあるからだ。富裕層というターゲットでも、オタクというターゲットでも、その世界の人間にしか分からないエッジなものは、表現しやすい(これにはカラクリがあるのだけれども)。

一方の、大衆に受け入れられるものでクオリティを上げるのは、非常に難しい。作品がいかによくても、多くの人に支持されないと意味がないからだ。分かりやすいうえにクオリティを追求していくことは、一見すると矛盾する部分も孕んでいて、なかなか難しいのだ(だからこそ、やりがいがあるのだけれども)。

そこで、数字(お金)がすべての商いの世界において、西山物の紅は儲かっていたのだろうかと、どうでもいいことを考えてしまった。

さて、このようにどうでもいいことを思索しながら旧街道を辿るのは、徒歩がちょうどよいのかもしれない。クルマだと、交通状況に気を配って運転していたら、すぐに次の宿場に着いてしまう。運転そのものを楽しむのならそれでもいいのだけれども、だったら街道ではなくて信号のないワインディングロードを走った方が楽しい。

流れる車窓から、気になる物が目に飛び込んできても、クルマは急には止まれない。徒歩だと足を止めるだけで、気の向くままに興味の対象へと意識も向けられる。

自分の中山道旧道の旅を自己否定しているようだけれども、だからこそ、クルマで旧街道を走破してもストーリーはなかなか生まれにくいのかも。旧街道を歩く書籍関連やWEB情報は数多くあれど、クルマで辿るものは数少ない理由もそこにあるのだろう。

そんなことを考えつつ、日の出が近くなってきたので、次の鴻巣宿へと先を急ぐ。

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▼BD-1での中山道旧道の旅はこちら

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