
Amazonプライムに入ってました(汗)
「ニシヤマさん、Amazon プライムでしょ? 映画見放題ですよ」
ある日、そんなことを会社の人に指摘されました。
確かに、Amazonで買い物はよくしますが、自分がプライム会員だとは思ってもみませんでした。
そういえば、ポチッと押した翌日に、よく買ったものが届いているような……。
調べてみたら、見事プライム会員。
しかも、年会費を引き落とされるようになった日付まで判明。
たぶん、急ぎのショッピングの際に、何かの拍子にプライム会員になってしまったのでしょう……。
と、そんなことはどうでもよくて、プライム会員の特典である映画見放題を行使しなくては。
そこで以前からいつか観たいと思っていた映画がふたつあります。
「旅の重さ」
1972年の作品。
タイトルからして、……お、重い。
この映画を知ったのは、地方出張の時、ホテルの部屋で深夜放送のテレビで一部を観たから。
最初からきちんと観てみたいと思ったのです。
文学少女趣味的な、というか、文学青年の脳内少女的なというか……。
とにかく、半分、ではなくて、全部青いナレーションがこそばゆくて、イイ感じだったのです。
家出をした少女が旅先から、男を家に引き入れた母へ手紙をしたため、それが少女のナレーションで読み上げられるのです。途中経過をすっ飛ばして簡単に要約すると、四国のお遍路もどきをする16歳の女子高生が、最後は40歳過ぎたオヤジと同棲するというもの。コンプライアンス的に、現代では無理のあるストーリーではあります。
「スローなブギにしてくれ」
1981年の作品。
原作も読んだことがなければ、映画もまったく興味はありませんでした。
観たかった理由はただひとつ、若かりし浅野温子を見てみたかっただけ。
細かなことは抜きにして、こちらもざっくりと要約すると、家出した女子高生が男と同棲し、さらには妻子持ちの中年男性とも肉体関係を持つ、というもの。
「旅の重さ」も「スローなブギにしてくれ」も、だらしない母親とのふたりぐらし。
そんな母親と暮らす部屋に、彼女らが着ていたセーラー服が壁にかかっているのが象徴的です。
そして両方とも少女が裸体をさらけ出しているのです。
「旅の重さ」では詩的に、「スローな」では半ば強姦気味に。
そこ、ハダカ必要ですか? と、いまなら突っ込みたくなるでしょう。
ストーリー上では未成年のハダカ、ですよ!!!
中年オヤジとアレですよ!!!
コンプライアンス的に、というか倫理的に許されるの? って感じです。
しかし、映画という芸術作品である以上、必要なのです。
女の裸を描くための方便
そのむかし、ヨーロッパでは女性の裸を描くために宗教画という方便を使いました。ギリシア神話をモチーフに使っていた時代もあります。女性の裸を描くために高尚なモチーフならば許されるという、極めてモラルの厳しい時代だったと言えるでしょう。
見せてはダメ、見ちゃダメ、となると、人間は見たい欲求を満たすために、都合の良い方便を考え出すのです。
翻って、70年代・80年代の日本も、アンダーヘアが出ようものなら大変だった時代です。女性の裸は今のように氾濫していませんでした。世の男性のオンナノハダカヲミタイという欲望は、きっと想像を絶するほどのエネルギーだったのです。
さあ、そこで芸術という名の下で女性の裸を表現するのです。
もはや絵画や写真ではもの足りません。映像というよりリアルに近い表現方法が登場しているのですから。
ということで、映画で女性の裸を芸術として表現する、というわけです。
一見、無駄とも思える演出も、その時代の要望に見事に応えているのです。
ではなぜに女子高生なのか?
ひとつには、少女から大人への移ろい(成長)を表現するため。劇中で実家の部屋にポツンとかけられていたセーラー服は、少女を脱皮して大人になった主人公の、少女という抜け殻を象徴しているともいえます。
もちろん、これはあくまでもただのシ論(私論・試論)です。
そしてもうひとつ感じたこと。
「旅の重さ」のたった9年後に「スローな」は発表されました。
なのに、そのたった9年で日本はなんとすれちゃったんだろう、なんと軽薄になっちゃったんだろう、と感じてしまうのです。戦後の復興、続く高度成長期、そしてバブル時代へと移行していく日本の時代──まさしく昭和の移ろいを味わうことができます。
平成の最後に想いを馳せるのは、やっぱり昭和であった、という昭和40年代生まれでありました。
ただひとつ、紛れもない発見もありました。
当時の浅野温子に匹敵する演技をする女優は、今現在ちょっと見当たらないということです。
S兄ィが、当時の浅野温子を何かのイベントで見かけた際、「本当に後光が射していた!」と言ってましたが、それも納得。
いまさらながら、昭和の日本映画を観てみようと思うのでした(Amazonプライムで)。
どうでもいいことですみません。
