ART of foods_おふとりさま

いむらや石堂店_チューニングの正解を求めてリピートするかも

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「人類は麺類」、合い言葉は「おふとりさま」。
編集者ニシヤマが出会った「麺類」を、味の良し悪しではない視点から勝手に「麺」に対して想いを馳せるレビュー。美味しいか否かは、あなた次第です。

ソウルフードというフレーズの落とし穴

ソウルフードという、なんとも響きのよい言葉。
そして、「名物に美味いものなし」という暗喩でもあったりする言葉。

久しぶりに日帰り長野自走遠征取材をした際に、カメラマンT氏のススメで、長野県民のソウルフードと呼ばれている「あんかけ焼きそば」にチャレンジすることに。「おふとりさま」シリーズを読んで下さっている身近な人たちから、ついに逆提案されるまでになりました(かつて「おふとりさま」で紹介したお店に、ブログを読んで「食べたい!」という人を連れて行ったことは何度かありますが……)。

あんかけ焼きそばといえば、長崎のぱりぱりの細い麺に熱々の中華あんがのったものを連想するものです。カメラマンT氏は九州出身なので、九州の味が恋しくなったのね、と一瞬思ったのですが、長野県民のソウルフードです。

太陽が沈んで、街に灯りがともり始めてから夜撮することになっていたので、1〜2時間くらい“待ち”の時間ができたので、その間隙を突くようにおふとりさましようということになりました。

T氏にはお目当ての店があるらしく、スマホで検索。幸いなことに、お店まではクルマの数分でした。……が、確かにあるはずの場所にそれらしき店が見当たりません。「記憶とは違う景色ですか?」と訊ねると、なんと一度もお目当てのお店に訪れたことがないことが判明。なんでも、知り合いの長野県民にお勧めされたお店なんだとか……。

ということで、この時点で味の保証はなくなってしまったわけです、あー麺。

工事中ということもあって、入口をなかなか見つけられず……。

お目当ての店「いむらや」の周辺は、再開発のためか工事中だったこともあり、入口へとつながる通路を探すのに時間がかかりましたが、とりあえず無事に入店。

メニューには、普通に「中華そば」というものもあったのですが、ここはソウルフードと呼ばれているらしい「あんかけ焼きそば」の食券を購入。一番奥の席を確保してトイレからもどると、すでに料理がテーブルに置かれていたのでした。

チューニングの正解が見つからない!

絶妙な左右対称、シンメトリーに盛り付けられているのがお分かりになるだろうか。

あんかけ焼きそば 590円

長崎のあんかけ焼きそば──皿うどんともいう──をイメージしていた自分には、かなりショッキングな光景が待っていました。楕円の皿に盛り付けられたあんかけ焼きそばは、まずもって精彩に欠けているのです。

ちょうどお皿の中央部分にあたるあんかけ焼きそばのピークに、錦糸卵がちょびっと添えられていて、その両側に緑鮮やかなサヤエンドウが2個ずつ。そしてさらに外側にチャーシューが一枚ずつのっています。見事なまでのシンメトリー。どうせならキクラゲもシンメトリーに配置して欲しかった……。

なんだろう、この幼稚な盛り付けは……。さらにはビビッドなサヤエンドウの緑がかえって錦糸卵とチャーシュー、そしてキャベツたっぷりの“あん”の色味の無さを強調しているのです。皿の端から見えるかたやきそばも、切り干し大根をさらに千切りにしたような頼りなさ。

これほど麺リフトを美味しそうに撮れないのは、初めて。

美味しそうに見える要素が見当たりません。いつものように、最初のひとくちの“麺リフト“にチャレンジしてみますが、麺がしっとりしてくれなくて、食欲をそそるようには上手く写真を撮ることができませんでした。

ともかく、おふとりさまです。

ひとくちめ。予想していた味を大きく裏切る甘さ。美味とはほど遠い文化の壁を感じてしまいました。

仕事で訪れた中国で口にした、予想できない味をした中華料理を思い出しました。ひとくち食べる分にはいいけれど、完食は無理だなぁ、という苦い経験を伴って記憶が蘇ったのです。

いやいや、これは長野県民のソウルフードであるぞ、と心を奮い立たせるのですが、そういえば愛媛の人が、『ケンミンショー』で紹介された愛媛のソウルフードなんて、ほぼほぼ食べる人なんていないよ、と言っていたことが走馬灯のように思い出されます。

その一方で、「どうとんぼり神座」の時のように、「3回通うと美味しく感じますよ」と大学の後輩に勧められ、道頓堀で飲んだ後に食べたラーメンのように後からジワジワと馴染むのかもしれません。そんな店に、初めての先輩を連れて行く後輩もどうかと思いますが……(その後、何度もリピートしています)。

店内の写真には、調味料の説明はありますが、なにをどう使うのかといった説明はありません。

カメラマンT氏は、早々にカウンターにある酢がらしを投入。わたしはその微味(微妙なる味)を記憶に焼き付けるために、何もかけずに1/4を食べてから酢がらしやソースをちょっとずつ垂らして味を調整しながら食べました。

結果として、最後まで調整の正解を見つけることなく完食。こしょうもかけた方がよかったのか? それともソースではなくしょうゆ? これほど味のチューニングをどうすればよいのか迷ったことは皆無です。

きっと、この大いなる謎を解くべく、リピートしてしまうだろうなと思ったのでした。しゅうまいは普通に美味しかったしね。

大盛りは、量的にちょっと無理な年齢になったようです。普通盛りでもお腹いっぱい!

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